本業は今日はお休み。けれど私には、休みという言葉は似合わない。

ホテルの大広間で、私は”副業”に精を出していた。

そう、コンパニオンのバイト。

今どき需要があるのかと問われれば、首を傾げたくもなる仕事だけどーーその場に集まる人間たちの裏と欲を覗き見るには、最適な場所なの。

客は電気系の会社の男たち。

私たちは12人、平均年齢52歳。

ねえ、想像してみて。200人の男の中に、12人の女。

そのうちのほとんどが、年齢という重みを身に纏った

“熱れすぎた葡萄”たち。

でも、それでもいいの。綺麗な葡萄酒ほど、時に毒を隠している。

私は中央のメイン席。つまり”見せ駒”の役。

立食スタイル、乾いた空気、早口の司会。17時の会場入り。

対価でいただいたギャラ9,000円也

そこで私の目を引いたのは、かつての鬼先輩。60代。

その姿は一配膳係だった。

昔は私たちを叱り飛ばしていたその背中が、小さく見えた。

すっぴんで、うつむいていて、目も合わなかった。

人はこうして”役目”を終えていくのかしら。

1時間は来賓挨拶。

舞台の上には、薄ら笑いの国会議員たち。

「水道基本料が無料になりました」それはあなたのお金じゃないでしょう?

「工場勤務の方々に、ファン付きの作業服を無償で貸与します」→安い同情ほど、冷えるものよ。

残りの1時間は、お決まりの流れ。

ドリンクの補充。

冷めた唐揚げとエビフライを皿に盛り、男たちに笑顔を振りまく。

本当は、誰が誰に毒を盛ってるかなんて、みんな知ってるくせに。パリパリに乾いた寿司は本当に不味そうだった。

終わって、電車に揺られて帰る途中。

駅前で買ったミスタードーナツを食べながら、ふと思うの。

夜ご飯

あの議員も、あの鬼先輩も、あの200人の男たちも。

みんな、私の黒革の手帖には載らない”その他”の人間たち。

私?

これからジムよ。5キロ走るの。

毒を抜くためじゃない。

生き残るために、私は走り続ける。

ナース・ジャスト・ジョブ

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