四月。

春風が街をなでるたびに、女たちは少しだけ軽くなる装いをして、男たちは何かを期待したような目をする。

――でも私には関係ない。

私が相手にするのは、その目の奥。欲望と計算の交差点。

土日はいつも副業のバイト。

朝の8時半から夕方5時まで。

時間を売るのは、もう随分前にやめたはずだったのにね。でも、今は“目的”がある。そのためなら、少しくらい退屈な仕事にも意味が生まれる。

先週の日曜は、少し自分を甘やかした。

筋膜リリースと痩身エステ。90分、たっぷりと。

照明は柔らかく、空気は静か。触れられるたびに、身体の奥がほぐれていく。

他人に自分の体を預けるのは、本来好きじゃない。でも、たまにはいい。女に戻れる瞬間だから。

帰り道、うっかり空港線に乗ってしまって、羽田空港まで。

仕方ないから、第1ターミナルにできた丸亀製麺に寄った。

本当はマッサージ後に食べるなんてご法度なんだけど――お腹が空いた女は、理性よりずっと強い。

ついでに眉も整えて、空港内をぶらりと歩く。

そして、あえて電車に乗らず、ゆっくり歩いて帰った。

身体を動かすと、考えが整理されるの。

その途中、猫たちと遭遇。4匹。

媚びもせず、媚びられもせず、ただそこにいる猫――いい女は、ああありたいものね。

その次の週末もまたバイト。

仕事が終わってから、スタバで抹茶フラペチーノを一杯。

ヴェンティサイズ。カロリーなんて知らないふりして、ひと口目で全部許した。

夜は、コンビニのエビチリをそのままご飯に乗せて丼に。

誰に見せるでもない晩ごはん。でも、案外こういうのが心を満たすのよ。

翌日の朝食は汚い湯沸かしポットの手前でパンとかフェラテ。

ランチは、またセブン。ツナマヨおにぎりと海苔の味噌汁。

“慎ましく生きる”って言葉、私は嫌いじゃない。でも、そこに「したたかさ」がなければただの我慢。

そして今週のハイライト――

ロレックスマラソン。

新宿を何店舗か回って、待ち時間12組、在庫なしと門前払い。

でも、分かるのよ。

「在庫がない」って言葉の裏にあるもの。

この女に、その時計を持たせる価値があるか――彼らがジャッジしてる。それだけ。

服装が若すぎたかしら。演技が甘かった。

でも、今回は名前を残させたわ。

前回は20組待ちで、名も残せず終わったんだから、進歩よ。

次はもう少し、「余裕のある女」を演じてみようかしら。

家に帰ってからは、焼きそばで締め。

アイスを我慢して、おうち抹茶ラテ。

スタバより安くて、美味しくて――

そう、私には私の流儀がある。

欲望と理性。

いつだってその狭間で、女は一番美しくなる。

私は、そこを歩いていたいだけ。

仕事終わりのカフェラテが至福。

ナース・ジャスト・ジョブ

幼なじみの看護師ちゃんも同じこと言ってた。
彼女の副業は時給3000円らしい。

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“第二話 4月の終わりに。欲と理性の、ほんの狭間で”. への4件のフィードバック

  1. Yard のアバター

    健康を大切にしたい私にも誘惑はあって、理性と欲の綱引きを常日頃からしています。

    欲が勝ってしまう時には落こんだりイライラしたりすることも

    けど金鯱さんの捉え方を見て元気がもらえました😊

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  2. darkmasa40 のアバター

    面白い内容でつい読んでしまう。
    普段自炊はしないのですか?
    私は一切しませんが

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    1. 金鯱  のアバター

      コメントありがとうございます!
      今は夜ご飯だけ簡単な自炊してます。
      また是非訪問してくださいね。

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      1. darkmasa40 のアバター

        返信ありがとうございます。
        また訪問致します!

        いいね: 1人

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